引きこもりでお悩みのご家族の方へ

引きこもり支援に関心のあるご家族の方へ

引きこもりとは、内閣府の推計によれば、全国に推定される70万人の方がいらっしゃるとされており、その予備群を含めると150万人以上にも及ぶと言われています。
単純計算で考えると100人に1人の割合ですので、引きこもりの問題に直面しているご家族の方々も相当数存在すると推測されます。
当院では、引きこもりの問題を解決するためにご家族が相談にいらっしゃることもあります。
「なぜ家族が相談に来るのか?」と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実はこれは適切な問題解決のアプローチと考えられています。
その根拠となるのが、1960年にイギリスで提唱された「EE」という概念です。
これは「Expressed Emotion」の略であり、「感情表出」と訳されますが、ご本人と家族の関係性を表す指標となります。
この指標と心の病の再発率は関連性があり、家族の接し方が「うつ病などの心の病」の再発予防や症状の緩和につながると言われています。
具体的には、EEが高い家庭ほど再発率が高くなると言われており、ご本人に対して「過剰に反応する(この子は私がいないとダメ)」「敵対心を持つ(この子さえいなければ)」「恐怖心を持つ」といった反応が症状に影響するとされています。
実際、高EEと低EEの家庭では、再発率に4〜5倍の差があると言われています。
もちろん、これらはあくまで指標であり、「誰が悪いのか」といった犯人探しをするためのものではありません。
同じ家庭という環境の中で、このような指標の話が出されること自体、現状に悩んでいるからこそなのです。
(参考:大塚製薬株式会社運営「すまいるナビゲーター」による家族の支援ガイド)

家族の支えと共に成長することの重要性

多くの方々は、自分の育て方に問題があったのではないか、昔と比べて子供の心の調子が悪くなったのではないか、ある特定の出来事が原因で心配されていることがあります。
どれが正しいかわからず、悩みながらも相談に訪れるご家族の方もいらっしゃいます。
当院では、悩みを解決するためには家族のサポートが非常に重要であると考えており、問題意識をお持ちのご家族の方々にも、ぜひ来院していただきたいと思っています。
私たちは、ご家族の状態を理解し、自分自身を責める気持ちを十分に理解しています。
だからこそ、誰も責めずに、ご本人が本来持っている素晴らしさを引き出すことで、楽に改善していく道を歩んでいけるのではないかと考えています。
当院では、ご家族がカウンセリングの手法を身につけるためのカリキュラムもご用意しており、ここで行うカウンセリングは、「相手の問題を解決する」というプロセスではなく、「相手の本来の素晴らしさを引き出すことで解決する」というプロセスを経るものです。
そのため、ご家族は特別な姿勢でカウンセリングを行う必要はなく、自然な日常会話の中で実践することができます。